起業の豆知識

避けられないイニシャルコストの問題

介護で起業する際に最初にネックになるのがイニシャルコストの問題である。
これから運営しようとする施設形態により必要となる事業資金は異なるが、ここではメジャーな通所介護施設を念頭にして述べる。

まず、通所介護で大きな負担なるのが設備投資だ。
通所介護、つまりデイサービスの運営であれば、そのサービスを提供する充分なスペースが必要となる。
この場合、イニシャルコストを削るために中古物件を安く購入して転用するなどの方法があるだろう。
しかし、その物件が丸ごと転用できるわけではない。
介護施設には厳格な法令上の設備条件が課されており、これをクリアしなければならないからだ。
そのために結局は改築を余儀なくされ、大きなコストが開業時にかかることは避けられない。

さらに介護施設には数々の特殊な専門備品が必要になるが、これについても法令で厳格な設備基準が定められている。
またデイサービスを運営するにあたっても、この基準をクリアする必要がある。
例えば、利用者を送迎のための専用車両の完備などは絶対条件なのである。

さらに大きな負担になるのが人件費である。
この点についても厳格な法令基準が定められており、必要な人員配置が決められている。
そのため、人員枠を削るという観点からコスト削減を考えるのは無理がある。
ただしデイサービスは利用定員も法令で厳格に定まっているため、スタッフの人員も必然的に決まるという特徴がある。
つまり人員の上限を超えて確保する必要はないので、施設運営後も必要な人件費を安定させることが可能なのだ。